辛うじて米教育長官承認、賛否拮抗。副大統領が投票

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元々この教育長官の承認に至る前に上院でベッツィーデボス(今回教育長官に指名された人)に色々質問を浴びせる機会があった。
今回は最初からエリザベスウォーレン(マサチューセッツ州選出上院議員)がこの人を責め立ててた。
特にアメリカの公教育、公立学校に関して「全然知識が無いじゃないか」という事を露呈させるべくすごく責め立ててた。
更にこの承認に至るまでの間、もう夜を徹してやった、24時間体制で。

「民主党は教育長官の人事でこんなに揉めたことは無い」とニュースにあります。
教育長官というのは大事なポストではあるけどアメリカの教育の予算をこの人が全部差配できるわけじゃないです。
ですからそういう意味で今まではすんなり決まるものだったのになんでこんなに難航したか?
しかも夜通しやってた。
でようやく採決というところに来たら50対50になった。
しかも共和党の中からも二人寝返ってる。
更に言うとベッツィーデボスがこんな風に名前が挙がる前は彼女と組んでた人が民主党の中にも居るんだけど、でもこの人には入れなかったという事がある。
これは何故かというと要はアメリカの日教組みたいなものです。
教職員組合というのがこのニュースのキーワードで、この教職員組合が民主党の大票田(人口が集中する都市部など、多数の得票を見込むことのできる地域)なんです。
それで要するに民主党としてはパフォーマンスでこの人に反対するって事を長々とやらざるを得なかった。
じゃあなんでこの女性にこんなにまでも反対するのか?
デボスさんという人は確かに知識の無い部分がある、特に公立学校に関して基本的な知識が不足してるとは言われてるものの、でもこの人はアメリカ児童連盟の会長でもある。
で教育には色々熱心に活動してきた人。
どういう活動かというと今回このニュースの裏に二つのアメリカの教育界におけるキーワードがあって一つはチャータースクールという制度。
もう一つはバウチャー制度、教育バウチャー。
これは日本でも安倍総理を含めて結構言葉に出してる人が居る。
まずチャータースクールというのは民間の人たち、地域の人たちが知恵を出し合って例えば「あなたが住んでいる地域で今こういう学校が必要だね」という声があるとすると、アメリカの場合は特に住んでる地域によって層が物凄く分かれてる。
例えば一つのエスニックの人たちが結構纏まって住んでたり、大体同じような所得層の人たちが住んでいたり、そうすると共通の教育に関する問題を抱えていたりする。
特に今までの公立学校というのがあんまりよろしくない為に落ちこぼれの子供が沢山出来たり、或いは非常に優れてる生徒が多かったりすると公立学校ではどうも「教育に満足いかない」とか色んな問題が出てくる。
それを地域の人たち、親たちなんかが「こういう学校があったらいいね」というコンセプトを作り、さらに事業計画を作って「設立から何年間でこのくらいの目標を達成します」と。
例えば「こういう生徒たちをこれだけ送り出します」だとか、或いは全米の中ですごく成績優秀な子供の学校を作ろうと思ったら「全米の中の成績ランキングでここまでの人は行かせます」とかそういうまさにチャーターなんです。
その事業計画をちゃんと作ってそれに対して公金を出すという形。
実にアメリカ的。
そういうチャータースクールがどんどん90年代から増えてきた。
それは何故かというと公立学校がだらしないから。
だから公金を使っての教育も自分たちで自律的に考えたいという実にアメリカ的なシステム。
それをデボスさんは物凄く強力に支援してきた人。
で彼女は大富豪の奥さん。
この人自身も色んな事業を手掛けたりもしてる。
チャータースクールをもっと増やして行こうという活動にどんどん資金を提供したり色んな事をやってた人。

チャータースクールが増えると民主党は痛い。
結局公立の教職員はみんな組合員ですから。
日本も似たような形です。
民進党は日教組が票田だから全く一緒の形。

もう一つはバウチャー制度。
バウチャーというのはクーポンです。
それを配る。
教育だけに使えるクーポンを配って教育のためのお金を中々捻出できない家庭の人たちも教育を受けられるようにしよう。
日本で最近やってる私立高校まで無償化と少し似てるんだけど、例えば配るとなると配るコストも掛かるから、じゃあ学校に対して全員がお金の心配なく受けられますよ、ある地域で。
で学校側で選抜して「これだけの生徒を取りますよ」という事で許可を出してその人数に対して補助金を出す。
これでバウチャーを配ったのと同じような効果を出す。
こういうバウチャー制度とさっきのチャータースクール。
これでアメリカのダメになってしまった教育を自分たちの力で立て直そうという運動を強力に支援してきた人。
だから公立学校の事に関しては基本的な知識が多少不足しててもしょうがないというわけです。

知識が不足してるというなら民主党政権で田中直紀が防衛大臣やって知識の欠片も無かったのは何なの?
アメリカでは一応承認というプロセスがあるけど日本は無いですから。
そんな事言ったらトランプ氏なんて政治のこと全く知らないで大統領やってるわけだから。
知識が在る無いで適当かどうかなんて言い始めたら滅茶苦茶ですよ。

結局この人もトランプ政権を象徴してる人。
政治の経験も無ければ、教育と言ったって公教育そのものの細々した事は別に知ってるわけじゃない。
だけど「アメリカの教育はこのままじゃダメだ」と言って新しい活動をしてきた人なんですよ。
それをいきなり教育長官のポストに就けるという非常に思い切った人事。
ブレーンじゃなくて責任者にしちゃうって事ですから。
トランプ大統領の肝いり人事。
だから大激震なんです。
今までのそういう教育畑みたいなところで生きてきた人たちにしてみれば大激震。
これは大変面白い人事だと思います。

これは記事からじゃ全然分かりません。
なんでこういう事がちゃんと伝わらないのかねぇ。
例えばオバマさんの時に、確かにオバマさんは公立学校には凄く力を入れてて特にミシェル夫人が公立学校の特に給食をもっと向上させようだとかそういう事をやってた。
確かにすごく貧しい人でも公立学校に行ってちゃんとした教育を受けられる環境を作ることも大事なんだけど、でもそれでにっちもさっちもいかなくなっちゃった。
だからもっと自律的なシステムを作っていこうという事をやってた変革者なんですこの人が。
それが邪魔なんです。
そういった公立学校の組合からしてみれば。
そういう事が伝わらない。
何かまるで素人のおばさん連れてきてトランプがまた訳分からない人事をやったぐらいにしか伝わらないでしょ。
そうではないんです。

この閣僚の承認のプロセスはまだ続いてて、本編のトランプ政権の承認のプロセスになっててそこでさっきのエリザベスウォーレンが・・・
今回エリザベスウォーレンが大活躍してたんだけど実はこの司法長官の承認で彼女は議場から叩き出されてしまった。
司法長官にノミネートされていた人というのが元々連邦判事もやった事のある上院議員で物凄い共和党右派。
やっぱりエリザベスウォーレンにしてみればこんな人に司法長官をやられるのはとんでもないという人ではあるんだけど、過去の80年代に今回の司法長官にノミネートされてる人が連邦判事になるときに、アメリカにおいては一つの伝説でもあるマーチンルーサーキングの奥さんが「この人にはいろいろ問題がありますよ」という書簡を出してるんです。
それは80年代に連邦判事になるときの話ですよ?
その手紙をこの人が議場に持ち出して読み始めた。
如何にこの人が問題のある人物か。
今度の司法長官になろうとしてる人物がいかに問題のある人物かという事を言うためにその古い手紙を、しかもマーチンルーサーキングと言えばアメリカではマーチンルーサーキングデイという祝日があるくらいですから。
その奥さんからこんなに文句を付けられていた男なんだという事を言うために手紙を延々と読み始めたわけです。
それで「ちょっとそれは違いますよ。あなたそれはやめてください、ルール違反ですよ」って事で議事進行してる側から出されちゃった。
それにまた乗っかるCNN。
CNNはトランプ大嫌いだから議場の外に出たエリザベスウォーレンにマイクを向ける。
するとエリザベスウォーレンが物凄い興奮してヒステリックに「だってトランプはあの種類の人間を私たちのこの世界にどんどん送り込もうとしてるのよ!」みたいな感じで叫んでる。
そしたら冷静な人たちから「この人トランプに憑りつかれてるよ、怖い」っていうコメントが出てきて、蓮舫と一緒じゃんと思ってしまった。
アメリカにもニコ生の利用者みたいな人がいっぱい居るんだね。
それは良いことなんだけど、例えばCNNにしてもABCにしても何にしてもこういう色んな議会の中のやりとりをライブカメラで全部そのまま流してくれるんですよ。
だから僕たちもリアルタイムで見れます。
おかげで寝不足になるという事はあるけどそのまま見れちゃう。
そういう意味ではとてもいい時代になってるなという感じなんだけど、そこにどんどんどんどんコメントが書き込まれるからそれを読んでるのが面白い。

一方でベッツィーデボスは大富豪で元々共和党の人たちに結構献金もしてた。
だけど民主党側でも過去にニュージャージーの市長を務めた人だとかも居て、ニュージャージーというのはニューヨークに近いところですからそういった変革的な事への取り組みも早くて、ニュージャージーで自分が市長をやってた時にはどんどんそういう事をやってた。
つまりチャータースクールだとかそういう事を進めていてベッツィーデボスと物凄い地脈を通じてた人なんだけど「自分は民主党だから」という事で今回反対票を投じてる人も居る。

50対50というのは歴史的に中々ありません。
ものすごい切り崩し工作があって共和党側から二人寝返ってる。
だからもう一人寝返りを出せばこの人は承認されなかったぐらいのぎりぎりのところだった。

アメリカは寝返ってもペナルティーは無いと思う。
だってアメリカは基本的に党議拘束かけないから、日本とは議会のシステムもだいぶ違います。

ベッツィーデボスが教育長官をやる事によって本当にアメリカの教育が根本から変わる可能性がある。
それからチャータースクールは結構目覚ましい成果を上げてる。
何故なら一定の期間公金がつぎ込まれる。
その一定期間に約束した目標を達せられなかったら負債は全部提案者が被ることになる。
だからものすごい緊張感を持ってやる。
リスクを負ってる。
だから地域の人たちも真剣なんですよ。

そうは言っても公立学校を残さないわけじゃない。
だからどうやって公立学校の質を上げていくのかも大事で、やっぱりトランプさんが今回一連の事柄で投げかけてるのは要するに「安全を守ることは何よりも大事なんだ」と言ってて、これはトランプさんに言われるまでもなくそうなんですよ。
国家である以上国民の安全を守ることは大前提。
しかも国民に対して社会保障をどうするか?
或いは教育をどうするか?という事になってくるとやっぱり国民というものを規定しなきゃいけない。
だから今までオバマさんがやってたみたいに「移民どんどん来ますよ」と。
で「不法移民でもとりあえず滞在していい事にしちゃおう」という話になってくるとどんどんその対象者だけが広がっていく。
これはやっぱりまずいよねという話。

日経新聞がさすがに出してましたけどどうやら年間1000万人の不法滞在者が居る。
という事は日本の人口と引き比べると500万人って事でしょ?
凄い数です。
だからそういうアメリカの事情を考えるとどんどん入ってきて、移民の国だからそれで活力が生み出される部分もあるけど不法滞在や不法移民と言われる人たちが物凄い数居る。
「それを全部社会で支えなきゃいけないんだ」とか「何もかもそれは多様性のためなんだから」と言ってむしろ一様化してしまう。
みんなを抑え込んじゃうわけだから。
その事に対してこれだけの不満が出てくるというのは当たり前の話かもしれない。

トランプさんの言う事を聞けば、言い方はともかく確かに国家である以上国民というものを規定して、その国民に対してどういうものを提供するのか?
そしてみんなでそれを守り合うのか?
この基本に返ろうという話でしかないと思う。

かつての移民はアメリカで成功するためにもアメリカ人になろうと努力してた。
でも今や英語もしゃべらなくていいという感覚でただここに住み着いてという様なつもりの人たちにまで自分たちと同じような権利を与えてどうするんだ?という事としかもアメリカで子供を産んだら二世はもうアメリカ人ですから。
そりゃあ「アメリカって何なんだ」という問い直しになりますよ。
関連書籍 チャーター・スクール―アメリカ公教育における独立運動
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