OPECが減産で合意、8年ぶり

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実は石油は全体として世界でダブついてきてる。
アメリカからシェールオイルが出てきて、アメリカは輸出国に代わります。
そうなるとサウジが非常に困る。
何とかシェールオイルを潰さない事には力が弱まるという事で考えた結果、原油価格を100ドルから40ドルくらいまで下げた。
その時にOPECが少し減産して40ドルくらいで止めておけばアメリカのシェールオイルは出て来れない。
こういうところで落ち着かせようとした。
ところが今まで外部との石油輸出が禁止されていたイラクが合意に達しちゃった。
そうするとイラクは久しぶりですからどうしても石油を出したい。
これでサウジは非常に難しい立場になった。
イラクの石油輸出は仕方がない。
だけど自分たちが減産すると、自分たちの力だけが弱まる。
これは1972年のオイルショックの時、それからその後主に石油価格安定のために減産に応じたのはサウジアラビアだった。
サウジアラビアは長い間自分たちが犠牲になって、石油の覇権国という事もあってそれを守るために自分たちが主として減産した。
それによってサウジアラビアのシェアが下がり力が弱くなった。
イランはサウジの仇敵です。
そのイランは経済封鎖が解禁されて石油が輸出できるようになったのに「そんな事に応じられるか」という事で、今はサウジとイランの力も結構拮抗してるのでこれを止められない。
そしてイランの後ろにはロシアが付いてる。
ロシアという国はいつもイランの石油を狙ってそこから甘い汁を吸ってきた。
その関係が長い間続いてて、イランの石油はロシアに特別安く売られていた。

このまま1バレル40ドルを切るという事になると大変厳しくなります。
そうなると産油国全体からサウジアラビアが非難され、サウジは力を失います。
もう一つはサウジアラビアの王室の争いです。
いつ革命が起きてもおかしくない状態。
そういう事もあって結局このOPEC減産はイランの勝ちかなという情勢になった。

ちょっとここで日本の資源について、いきなり極論を言います。
日本にエネルギー資源は要らない。
何故かというと原油の生産量を見るとサウジアラビアとロシアが突出してアメリカもシェールオイルが出てきた。
続いてイラン、中国、カナダ、メキシコ、UAE、クエート、ベネズエラ。
感覚だけ掴んでください。
天然ガスはロシアとアメリカが突出して続くのはカナダ、イラン、ノルウェー、アルジェリア、サウジアラビア、イギリス、中国、トルクメニスタン。
石炭は中国が突出して、続くのがアメリカ、インド、オーストラリア、ロシア、南アメリカ、アフリカ、インドネシア、ドイツ、ポーランド、カザフスタン。
こういうベスト10に入ってるようなところは輸出国になります。
これを見ても分かるように世界のエネルギー資源というのは昔と違って完全に分散してる。
自動車産業より分散してます。
だから世界はエネルギー資源を獲得するよりも自動車を買う方が大変なんです。
つまり自動車買うとなったらトヨタかアメリカのGMかベンツか。
ドイツか日本かアメリカのものしか基本的に買えない。
他に少しはあるけど全然規模が違いますから。
だからこの3つから自動車を買うのと、天然ガスや石炭を多くの国から買えるのとではかなり違う。
じゃあ自前のエネルギー資源を持たなきゃいけないというのは言い変えると「うちの国でも自動車産業を持たなきゃいけない」と言ってるのと同じなんですよ。
昔は自動車は大した事無かった。
意味が無かったから。
だけど今は各国とも工業が進んで、自動車が無いと生活が出来ないようになってきてる。
ですから日本にトヨタがあるという事は、膨大な石炭資源があるようなものなんですよ、各国に及ぼす影響は。
だからかつて「エネルギーだけは必要だ」と言って炭鉱なんかを一生懸命掘っていた時代と現在とは全く違うという事です。

多くの人は頭の中でエネルギー資源と工業製品は全く違うものだという風に分けて考えてると思うんですよ。

それから最近になると情報です。
政府の予算管理でも何でも全部電子化されてしまう。
そうすると今度は電子部品を供給してくれるところが無くなっちゃうと、もう国自体が止まってしまう。
だから今はエネルギー資源と自動車産業と情報産業の3つはほとんど同じどころか情報とか自動車の方が強いくらい。

もう一つ言いたいのはエネルギー資源を取れる国が広くなったこと。
どんどん探査していった結果、取れる国も次々に見つかってきた。
そして広がって行った。
このくらい広がると資源国同士の値段の戦いになる。
でも資源機械は世界で日本とアメリカとドイツしか作れない。
例えばある国が日本の機械を使ってて、もう一方がベトナムや中国の機械を使ってるとすると価格の開きが凄い事になります。
だから後者は絶対に潰れるんですよ大赤字で。
だから日本、アメリカ、ドイツの機械を使わざるを得ない。
それでその機械を使いだすとどっぷりと浸かってしまって、相手には悪いんだけどもう日本に資源を出さざるを得なくなる。

何故アメリカ、ドイツ、日本なのか?
戦いだすと勝てないんですよ。
つまりまだ中心的な産業にならないときはヨーロッパ産やフランス産が少し出てくる。
ところが本格的な戦いになると工業製品はやっぱりこの3か国には勝てない。
フランスもルノーとか良い車あるんですよ?
イギリスにもイタリアもあるんだけど精々美術品みたいな車になってしまう。
本当の世界での競争になるとやっぱり日本、ドイツ、アメリカの3者が競い合う。
これが日本に資源は要らないという根拠。
日本の中に資源が無くてももう技術を出してるから。
向こうの国は日本の技術が無かったら赤字になるから。
やっぱり日本の技術が一番安くて確実でサービスもいいんですよ。
だから結局ズルズルズルズル日本になっていく。
最初はアメリカです。
例えばシェールオイルの掘削機械は今殆どアメリカです。
だからアメリカ人というのはなかなか創造性があり勇気があり先端を切っていく。
ところがこのシェールオイルが全世界に広がったら、三菱重工、日立が出てきて取るんですよ。
それはやっぱり機械のメンテナンスも素晴らしい、サービスも素晴らしいという事で日本が取る。
だから日本は機械、電機の若者さえきちっと育てておけばあまり心配することは無い。
極論を言えば機械、電機の優秀な人材を揃える事と日本の何処かで資源を見つけることは一緒なんですよ。
ところが資源や電機は割合と素人が生意気な事を言う分野。
例えばジェットエンジンの事は誰も言わないのに資源や電機の事となると「あれがいい、これがいい」と言い始めちゃって話が混乱するんですよ。
もちろん意見を言ってもらうのは結構なんだけど、資源も電機も非常に奥が深いという事を少しは理解して頂くといいんじゃないでしょうか?
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