九州に旅行客を、北京で説明会。補助金支援も

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こういった補助金を出すという事は結構やってる政策なんです、皆さんがご存じないだけで。
例えばJRが主体になってある旅行地を凄く注目させて徹底的にCM打つ。
毎年ココと決めてそのデスティネーション(旅行目的地、旅行先)を重点的にキャンペーンする。
そしてJRと自治体が組んで各旅行会社にもお金を配る。

旅行会社は普通旅行商品を作るときに例えばパンフレットの政策やなんかで色んなコストが掛かる。
これを全部抱えてあげます。
その代わり例えば旅行のパッケージツアーの料金を下げることが出来るとか或いは消費者に色んなメリットを還元することが出来る。
こういう事はしょっちゅうやってるんです。
それがいわゆる国際旅行というインバウンドになってくると日本政府、日本政府観光局等々が相手国の旅行業者に対してこういう補助金を出すという事は日本だけじゃなくて他の国もやってる。
ですから日本の旅行会社であれば他国の観光局からお金を貰ってパッケージ商品を作るという事もやっているのでこれ自体はよくある手法ではあるんですけどただ問題は要するになぜ真っ先に北京なの?
それは中国だったら補助金を配る等々をすればすぐに見返りがあるからです。
すぐに旅行客がそれだけの数来るからです。
何故ならば政治的に人を動かせるからなんですよ。
ただ一番まずいのは前も書いたように「中国だったら3万円ばら撒きます」とか、この記事だと「金額よりもその気持ちが一番いい」とか言ってるけどそんな事は関係無い。
やっぱり金額なんです。
「3万円ずつばら撒くよ」という風に言えば確実に数が読めるんですよ。
動員が利くんです中国の場合は。

もっと古い背景で言うと中国が元々は、それこそ毛沢東時代からずっと古い時代の事を考えると自国民を外に出さなかった。
パスポートなんて国民に与えなかった国なんだけど段々改革開放されてきた。
で一部の特権階級だけは外に行けるようになり、2000年代に入るころから一般の人たちもどんどんパスポートを渡して「外に行ってこい」という風になってきた。
この頃どういう風な事が話し合われたかというと当時胡錦濤時代に明確な工作方針として台湾を軍事的にではなく経済で絡めとっていこうという風に方針を転換するんですね。
それは90年代に台湾の総統選挙が行われたときミサイルを撃ちこんだりしました。
あの時にアメリカの空母が来てしまって一触即発という危機を迎えたのでちょっとこれは引いておいた方がいいという事で軍事力での威嚇は止めよう、その代わり台湾を要するに経済力で雁字搦めにしてしまおう、そのためには観光客を年間50万人は送りこめ。
で、その50万人をどうやって送り込むかというと職場旅行をさせるために企業に対して補助金を北京政府が出して「職場旅行行け」という風にやるわけですよ。
そういう政治的なコントロールが利く国なので、日本に来る人たちも全くの自由意思で来てるのかどうかちょっと分からない部分はある。

それからあちらの国で中国の旅行会社がパッケージツアーを作って募集をする。
これは当然中国の媒体を通じて募集するんだけどそのチャンネルだって全部お上が握ってるわけですから。
メディアというのは基本的に全部御用メディアでしょ?
だからどれだけどういう風に露出して行って人民を誘導するかなんてことは全部お上の匙加減に任されている。
我々の国みたいにお気楽に「今度夏休みだから行きたいな」とかそういう事だけで動いてる国じゃない国だから安易にやれるんですね。

それを日本側があんまり安易にやり過ぎると、まあ麻薬と一緒になりますよ。
中国依存を自ら高めて行ってる。

中国に3万円の補助ってかなり大きいですよ。
二泊で3万円というのはかなり大きい。
だって向こうの月収の3分の1ぐらいです。
ですからこれは大変な呼び水なんですよね。

中国という国を相手にする場合、単純にビジネスという事だけで割り切れない部分があるんです。
必ず政治的背景を持ってる。
観光客というものを何か問題が起きたら政治カードに使おうなんて国は、日本の近隣には中国しかありませんから。
台湾に対しても今脅しでグループ旅行止めると言ってる。
5、6年前に日本との間で、尖閣で問題が起きた時だって1万人を足止め実際にしたんですから。
それをやれる国なんですよ。
そこにこういう事ばっかりをやる癖をつけるというのは大変良くない。
ですからこの3万円の補助金を一体どれぐらいの総額規模で配るかにもよりますけど、もっと別の使い方があるんじゃないでしょうか?

観光庁が一生懸命発表している資料の中で「こんなにインバウンドが増えました。こんなに外国人観光客が増えて目標数値を前倒しで達成しました」という発表だけどんどんしていく。
それをまたメディアが大きく取り上げるんですよ。
その一方で観光庁が絶対に表に出さない統計数字があるんです。
何かというと国内、国内旅行の日本人観光客の減少ぶり。
マーケット規模を言うと日本人の国内旅行のマーケットは20兆円なんですよ。
対してインバウンドのマーケット規模は2兆円です。
10対1。
ところが20兆円の方が激減していく。
中でも若年層、10代後半、20代。
この層が驚くべきことになんと年間で8%も減少してる。
毎年8%です。
色んな事情があるんでしょうけど最大の理由は例えば東京駅の日本橋口は団体客の集合場所です。
朝そこに行くと団体客が居ますよ。
「近畿日本ツーリスト」とかみんなバッチ付けたりして居ますよ。
爺さん婆さんばっかりですハッキリ言って。
若い人が居ない。
やっぱりお金が無いんだよね、観光に回せるだけの。
もちろん興味が無いとかネットを通じて行った気になっちゃうとか色んな理屈は付けられるけどそうじゃない。
お金の余裕が無いんですよ。
だったらそこに3万円出してやればいいじゃないの。
観光庁はやってる事がおかしすぎる。

なんで中国人なの?
なんでインバウンドなの?
なんで国内の人に補助金を回さないの?
というと一つは空港政策の失敗がある。
日本は98空港があって殆どが不採算だったと言っていいんです、乱暴な言い方をすれば。
そのほとんど不採算だった地方空港が最近ようやく息を吹き返してる。
これはインバウンドの需要によるものなんですよ。
例えば静岡の空港も、作るときに立木がどうので散々揉めて開港が遅れたりしたんだけど、「こんな誰も乗らない空港を誰が作ったんだ?」という話になっていた。
だけど今ちょっと活況を呈してる。
それは中国から観光客が来るからなんですね。
結局今になって考えてみると日本各地に採算も取れない空港を沢山作りました。
そこが近いからという事で中国路線を飛ばす。
それに中国からの観光客が乗ってくる。
言ってみれば中国からの観光客のために、中国路線のために儲からない空港を作ったという結果になってるんですよ。
ですからそういう意味でインバウンドが欲しいんです。

さらに言うと一応買い物もするから地元の小売業も多少は潤うという事がある。
今日本人は旅行先で中々物を買わなくなってますから。
旅行のスタイルが違うという事もあるんですけどただまだまだ圧倒的に日本人の国内旅行のシェアは大きいんです。
それがどんどん下がってる事が確かに問題なのでこれをどういう風に盛り返すかという事に観光庁はもっと知恵を使うべきなのにすぐ安易な中国に行ってしまう。
そして観光庁は元々目標の立て方が物凄くおかしい。
「はい2000万人だ」「次は3000万人だ」「次4000万人」って数で行くんですよ。
非常に極端な例を挙げますけど例えば2000万人から3000万人になれば当然ホテル不足という問題が起きる。
それで「じゃあ今度は民泊を解禁だ」という訳の分からない話になってくるんですよ。
だけど例えば客一人の単価が2000円だとしましょう。
こういう客を2000万人扱うのと、200円の客単価の客を倍とか3倍で扱う。
どっちがいいですか?
要するに日本という旅行地をどのようにマーケティングしたいかというビジョンが全く欠けてるんですよ。
なんにも考えてない人たちが政策立案してる。
一応デービッドアトキンソンという観光立国論なんかを書いていらっしゃる方をブレーンにしてるんですね。
でもデービッドアトキンソンの本僕も読んでるけど彼は決して「なんでもいいから客かき集めろ」なんてことは一言も行ってない。
ですからブレーンをブレーンとしてもちゃんと活用しないまま要するにただただ数を追い求めて、しかもその数を追うのに一番安易にそれが達成できる相手が中国なんです。
で、中国はそれをいずれ政治カードに使う可能性が濃厚というかすでにやられている。
こういうような悪循環を招いているのが今の日本の観光行政です。

日本の旅行会社はほとんどこのインバウンドは扱ってませんから。
これは中国側の旅行会社が送ってくる、日本における地上手配、ランドオペレーションというのは華僑系の会社が殆どやってるんです。
そこにはかなり違法な部分もあります。
日本の旅行業法に照らせば違法な部分もかなりある。

そして大阪もかなり観光客多いですよ。
関空も新しいターミナル作ってLCC(格安旅行会社)専門になった。
だけどなんでLCC専門なの?
LCCを一概に否定はできませんけど新しいターミナルを作ってLCC専門ってそれでいいんですか?
安い客は一切来てくれるなとまで言うつもりは無いけどそれはそれで若い人なんかが日本に来て文化に触れてもらう。
これも大事な事ですよ。
だけど日本というそれこそデスティネーションを安い旅行地にしちゃっていいんですか?
だから観光行政というのはそういうビジョンが極めて大事になるんです。
そこが何にも考えられてなくてとにかく数だけ追っていくというのは今の日本の観光行政。

こういう事も外国で起こってる。
例えばエアアジアX(AirAsia X)というマレーシアの、国際路線を専門にやってるLCCがある。
そこが関空をハブ空港にしてアジア各国からそこに集めてきてそこから長距離路線、ハワイ路線を飛ばそうとした。
往復でどうも3万円ぐらいで設定できるらしい。
それで飛ばそうとしたらハワイは「貧乏人は来なくて結構です」と言った。
そりゃそうですよ。
だって来たってお金使わないから。
使えないんだから。
それよりもLCCじゃなくてレガシーキャリア(LCCとの対比として使われる、従来型の航空会社やサービス)飛ばして、それなりのお金を持ってラグジュアリーな感じでお金を使ってくれる方がありがたいんですよ。
それが普通の観光ビジネスの在り方じゃないのかな?

観光で食べてるハワイがそういう事言うんですよ?
だから日本が安物客だけ引き受けるという世界になっちゃっていいんですか?
国ってところが考えるからこんな事になっちゃうんです。
ビジネスという感覚が無い人たちだから。
数字目標だけで、それ達成すればそれが自分の評価になりますから。

しかし一般のメディアでこういう観光庁批判を一切見たことが無い。
やっぱり繋がってるのかねぇ、広告とか宣伝で。
まああるでしょうね。
だって中国人の爆買いが凄いって事しかやりませんから日本のメディアは。
関連書籍 デービッド・アトキンソン 新・観光立国論
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