手首塚

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最近経済的な結びつきや安全保障の結びつきでもインドと日本は段々切っても切れない関係になってきてる。
ついこの間もインド海軍とアメリカ海軍と日本の海上自衛隊とでマラバールという、元々米印がやっていたところに日本の海上自衛隊が今後毎回参加することになった。

インドは長い間イギリスによって植民地支配されてきました。
この植民地支配はものすごく苛烈なものでした。
ただイギリス人というのはプロパガンダの名手だからあんまりそういう印象が無いでしょ?
よく言われるのが「アングロサクソンというのは朝空爆をして夕食では人権の話をする」。
こういう人たちなので、非常に苛烈な植民地支配をし、アフリカでは奴隷貿易という事をしていながら紳士の国と言ってるんだけどやっぱりイギリスの植民地支配は大変なものでその一つの苛烈さを表す一つのキーワードがこの手首塚なんですね。

技術革新が進んでいく中で機(はた)を織るってあるじゃないですか?
要するに繊維を作る。
繊維を作る機械が開発されてそれがイギリスのマンチェスターなどで作られていた。
それをインドに沢山持って行ってより大きく繊維産業をしていきたいというイギリスの目論見があったんですけどそれ以前インドはどういう風に織物を作っていたかというと機織りをしてた。
この機織りというのはインドの伝統的な産業だったんですけどその機織り職人たちに伝統的な手で織る機織りをさせないためにという事で手首をみんな切っちゃった。
その切り落とした手首で塚が出来る。
つまり手首塚が各地に出来るほど職人の手首を切り落とした。

ですからインドに行ってインド人といろんな話をしてみれば、いつもヒステリックに色んなことは言わないし今だってイギリスと色んな形で連携してるんだけど植民地時代の事については「ほんとにイギリスは酷い事をしてくれた」という事を言うわけです。
ヨーロッパ列強の植民地支配というのは非人道これに極まるみたいな事が沢山ある。
インドで最近、英領時代の負の遺産を払拭しようという動きが盛んになってきててその一つの象徴が2014年に首相に就任されたモディー首相です。
非常に安倍総理とラブラブでものすごく仲がいい。
この人はモディノミクスなんて言われて経済政策に大変明るい。
その面は日本でもかなり伝えられたんだけど一方で彼の政党はヒンドゥー至上主義なんて言われてる。
日本ではヒンドゥー至上主義というと悪いイメージしか無いんだけどこれは悪い事じゃなくて本来のインドに返ろうという事なんです。
つまりインドって多言語多民族多文化の国というイメージあるじゃないですか?
例えばインドは公用語だけでも22ある。
そしてインドでルビーのお札を貰うと色んな言葉で書いてあったりする。
そういう風な国であってそれはそれでよしという部分もあり或いは有名なカースト制度。
これによってちょっと僕たちには理解しがたい様な身分制度、非効率性みたいなものはあるんだけど実はこのカーストをより厳しくしたのはイギリスの支配によるものなんです。
要するにイギリス人というのは中を分裂させて分割して統治する。
ですからインドとパキスタンの分離だって基本的にはイギリスが画策したものですけど本来だったら先ほど22の公用語と書きましたが、インドの第一公用語であるヒンディー語はパキスタンの第一公用語であるウルドゥ語とほとんど同じなんです。
ウルドゥ語喋ってる人とヒンディー語喋ってる人は何にも通訳要らない。
特定のボキャブラリ、単語だけがちょっとウルドゥ語の方がペルシャ語から借用してるものがあるけど基本的に何の違いも無い。
何が違うかというと文字が違う。
ウルドゥ語の場合はアラビア文字を使う。
ですから表記は違うんだけど言葉としては完全に通じて、元々はヒンドスタニーと言ってヒンドスタン平原周辺で喋られていた言葉ですから一つの言葉なんです。
それをわざわざ分割したのはイギリスなんですよね。
そういう事もあってインドのこの複雑な言語、民族事情も英領時代にそうされてしまったんだという面が非常に強い。
本来だったらもちろん地方語は地方語でそのまま残していいけどやっぱり統一言語というものが無いと国の発展としては難しいわけですよ。
それを進めていくにあたり今インドでは良くも悪くも植民地支配したイギリスの言葉がオフィシャルな統一言語になってしまってる。
だけど本来はヒンディー語でいいじゃないか?と。
モディーさんはそれを言ってしまった。
今も第一公用語ではあるけれど英語の方がちょっと上なんですよね。
使われる頻度が、特に南の方では。
それで「もうヒンディー語である程度統一して行こうよ、これで国を発展していってみんな一つの国民になっていこうよ」という事を言ったのがモディーさんなんだけど、南の方からは実は相当な反発があって特にインドに22ある言語のうち南の方のタミール語なんてのはヒンディー語と全然違う。
これは文字も違えば言葉自体も外国語くらい違う。
ただ南の人でもヒンディー語を喋れる人も結構いるんだけどしかしオフィシャルな言葉としてヒンディー語を使って行こうよというのには相当な反発もある。

こういう中で日本のメディアはこういう事をちゃんと伝えないでヒンドゥー至上主義みたいな事だけを物凄く表に出してナショナリストだと言うんだけどそうじゃないです。
インドは手首塚というものが各地にあったぐらい酷い植民地支配を受けそれはただ単純に肉体的に虐められたという事だけじゃなくて文化の上でも大変な侵略を受けてきた。
それによってインドはより複雑化して発展が遅れたという面がある。
これがモディーさんの一番問題にしてる点で、本来だったらインドは自分たちの力、自分たちの言語でもって近代化が出来たはずだという事を言ってる。
ですから日本としてはこの首相は付き合いやすいんじゃないかな?
つまり日本の近代化の歴史は彼らにはある程度参考にしてもらいやすい部分もあると思う。
ただ国のサイズは日本とは比べ物にならないし民族的な複雑性は確かに依然として残るから、その複雑性や言語の多様性は残してもいいけど、でもやっぱりインド人として皆がそこにアイデンティティーを持てるような言語でもってある程度統一して発展していくという事。
これはやっぱりとてもいい事だと思います。

日本のメディアは、ヒンドゥー至上主義というレッテルみたいな言葉だけで、まるでイスラム原理主義の親戚みたいな、まるであの人が非常に狭い考えの持ち主で他の民族を弾圧しようとしてるかのようなイメージで伝わってるんだけど全くそうじゃありません。
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