二・二八事件

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台湾で新たな政権がスタートしました。
5月20日に蔡英文新総統が就任した。
日本のメディア扱いが小さくないですか?
新聞なんかは各紙ちゃんと記事を載せていたんですけどテレビが、つまり映像での発信というのが殆ど無かった。
国交のある無しというのはあるけどパククネの就任式の時はライブで中継してたでしょ?
ちょっと台湾に対して冷たくない?
元々朝鮮半島も台湾も一つの国だったことを考えると非常に近しい仲間だった国で、新しい、特に女性の総統が誕生したというのになんか映像が少なくて寂しい。

今回の就任式の目玉は歴史劇というのを総統府前の広場で大体40分くらいやった。
台湾の歴史をずっと劇にしてるんですけど清朝時代から台湾というのがどういう成り立ちだったか?
要するに原住民も居て、向こうから渡ってきてる人たちも居て。
で日本の統治時代があり、日本統治時代にも苦難があり、日本の敗戦の後に国民党が来る。
そこで起きたのがこの二・二八事件。
これは今まで中華民国たる台湾においてはタブーだった。
要するに国民党が台湾の特に知識人というか若い人たちを中心に最大で3万人近くの人を虐殺したと言われている。
これ元々は闇タバコ売りのおばさんの事が問題になってちょっと抗議の声が上がった。
これを一つのきっかけにして弾圧する。
わりかしこれ中国というのはよくやるんですよ。
わざと騒ぎを起こす。
大体問題が起これば民衆が抗議します。
抗議させておいて一気に弾圧に入るというのは例えば今の中華人民共和国でも新疆ウイグル自治区やチベットでよくやる手なんだけどまあそういう事だった。
この問題というのは要するにタブーだったから。
台湾の人はみんな言いますよ。
でも今までそれが表だって語られることは無かった、台湾の歴史の一幕として。
特に凄い負の歴史じゃないですか。

蔡英文さんがいくら台湾独立を訴えている民進党から出た総統だとはいえ彼女は中華民国の総統。
にも拘らずこういった負の歴史を表に出したというのは台湾の新しい時代の幕開けでもある。

この二・二八事件の事を台湾に行かれてある程度の年配者から直接聞いたことってあります?
映画で言うとホウ・シャオシェン監督の悲情城市 [DVD]の中でこの事件が出てきます。
非常に良い映画で国際的にも大変評価が高い映画なんだけどあんまり知られてない。

台湾の80歳前後の方々は非常にこの時の事を深く心に留めておられて、やっぱり日本人である僕たちにずいぶん話をするんですよね。
非常に悲惨な事件で例えば「自分は兄を殺されたんだ」というような方もいらして、ある中心街でのそういった殺戮、これが起きた時「道路がもう血の川になったよ」という言い方をするんですね。
今の80代くらいというのは丁度日本統治時代に小学生から中学になるかくらいで終戦を迎えてる世代。
ですから戦争経験もある。
台湾もかなり激しい空襲を受けてますから。
そうなんだけど比較的日本の台湾統治の良い部分を知ってる世代でもある。
台湾を50年日本が統治しましたけどその中の一番最後の頃に多感な子供時代を過ごしているから記憶の中では言ってみれば日本時代というのはもちろん戦争中で大変だというのもあったけどかなり良かった。
そして治安も良いし、日本の軍人って沢山居たんだけどその人たちに自分たちが弾圧されるという様な事は夢にも考えたことが無いような状況だったと。
ところが国民党が来る。
最初は新たな祖国に抱かれるんだと思ってたんだけど決してそうではなくて逆らえば虐殺される。
そこで彼らの中の日本統治時代と国民党に対する評価にハッキリと差がついてしまう。
よく言われるのが、というか僕たち日本人の前では遠慮して言わないんだけど要するに「犬が居なくなったら豚が来た」という言い方。
犬というのはちょっと侮蔑的な言い方でもあるけど割合治安を守るためには良かったりするじゃないですか。
でも国民党は最悪だと言うわけです。
で、そういう人たちが来た。
特に色んな衝撃を受けたという事の中には国民党の人たちが国内戦で敗れてくるという状況だったからかもしれないけど「あんなにだらしのない兵隊は見たことが無い」と見た人たちは言ってる。
つまり軍服の着方から何から、自分たちは日本軍の兵士しか見たことが無いのであんなにだらしない佇まいの軍隊ってあるのか?
まずそれにがっかりしたと。
それからろくに字も書けない。
台湾の人たちは日本語も話せるけど漢字をかなり達者に書ける。
そういう事も出来ないような無学な連中が居る。
且つ台湾に来たら水道が整備されてる。
それを見て「こんなに台湾は近代化されてるのか」とびっくりしてる。
そんな水道も知らないような連中に自分たちが支配されて且つ虐殺までされるというのはものすごい衝撃だったって事をお年寄りが語るわけです。

確かに日本の統治そのものを台湾の方たちが非常に良き評価をして下さっている。
もちろん日本の統治そのものにもいい点もかなり多かった。
しかし台湾の人たちにしてみれば厳しい部分もあった。
だけどなぜ今台湾の人が総じて日本に対して非常に良い評価、そして日本の統治時代についてもいい評価をしてるかというとこの事件というのがものすごく大きい。
でも日本でほとんど知られてないんです。
悲情城市 [DVD]という映画をご覧になった方はそれなりに認識はあるかもしれないけど、日本の統治時代に良きことを一応日本がしていたという事についても日本人はあまり知らないけどでもこの二・二八事件で台湾人がどれだけ大変な目に遭ったかという事もほとんど知らない。

あるおじさんが「この時に本当に大変な事になったなあ。台湾人がみんな殺されるんじゃないかと思ったときに日本人は助けに来てくれないのかと思った」と言うんですよ。
でももうその時日本は敗戦後でそんな力はとても無かったし、その時にほんとに「あっ、自分たちはいよいよ日本と切れたんだ」という風に思ったっていう話を涙ながらにされるお年寄りというのはずいぶんいらっしゃいました。

中国は最近の日本と台湾が政治的にも近づきつつあることについても物凄く嫌がってます。
日台が近づく、そして日米同盟の中に台湾を取り込もうとしてんじゃないか?という様な懸念も寄せてるんだけどやっぱり日本人が、台湾は行きやすいところであって、で台湾の人たちというのは非常に日本人に対してウェルカムというような所があるという事だけじゃなくて、台湾で何があったのかという事をもう少し僕たちが知っておいた方がこの際いいなという風に思うわけです。
単に紳士的である、或いは日本が震災に見舞われたときに多額の寄付をしてくださったという事に対する感謝というのももちろん大事なんだけど、特に戦後の台湾がどれだけ色んなものを乗り越えてそして自力で無血のまま民主化をした。
そういう台湾の戦後史についてももう少し日本人が目を向けて行く。
そしてもうさすがに二・二八を非常にリアルに語れるお年寄りというのは台湾にも少なくなりつつあるけれどもそれでもやっぱり台湾人の中にもこの事をとても心に留めてる人も居るしそして子孫も居る。
今日本に住んでいる台湾出身の人たちの中にもこの事をきっかけに自分の親とか、おじいちゃんおばあちゃんが日本への移住を決めたという例もある。
だからといって殊更にいきなり聞くのもちょっとあれだけど、でもこういう事について日本人がもう少し知っていくという事が必要じゃないかなという風に思います。
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